<人間速寫523>

(2010年6月13日・曇、12:50〜17:00、モデル:Kさん・・・30歳女性〜インターネットで応募の美術モデルNo.289b)
ほぼ日曜日は毎週の個人クロッキーである。この3週天候の変化がめまぐるしい。寒冷な曇天の先々週、鳥肌を立ててポーズするモデルはストーブが必要なほどだった。先週は夏のような強烈な日差しの晴天、むしろ陽光を避けなくてはならないほどだった。そして今週は梅雨入り間近の曇り空である。曇といっても本来の陽光は明るいので暗さは感じない。時折薄日も射し、カンカン照りの直射よりは好ましい。
今日のモデルは先月描いたKさん、2回目のポーズである。前回は初めてだったから生涯2度目の美術モデルである。関東内の相当な遠隔地から来られモデルに対する高い意欲を感じられるのは前回同様である。
ポーズは前回と同じくKさんの創意にお任せする。今回はポーズ集等から予習してきたというYさん、日常的な形態からもポーズを選択する。小道具の小箱や棒・ヒモを用いて慎重にポーズを決めていく。Kさん自身で客観的なポーズの見え方を意識するのは難しいため、私が最終に微調整をする。相当に苦痛なポーズでもKさんは保ちきる。
肉付きのよいKさん、圧縮したトルソ前部の肉のくびれや歪みから生じる形態がとても面白く、薄日の自然光がYさんの姿態を美しく映し出す。座りポーズを描きながら私はレンブラントの「バテシバ」を思い出した。Kさんの体つき、この絵を彷彿とされるものがある。
今日は雨模様にはならなかったが、Kさん持参の赤い傘を小道具として生かす。存在感の大きすぎるアイテムでたくさんのポーズに用いるのは適切ではないが、いくつかのポーズに用いるのはスパイスのようで面白くよかろうと思う。
57点のクロッキー、掲載は1、2、5、8、9、11、13、15、16、17、19、20、21、23、24、25、26、32、35、37、40、41、42、43、44、45、47、48、49、51、52、54、55、56、57点目のクロッキー、35点。

モデル Kさん 感想メール
先日は貴重な時間をありがとうございました。

今回、私にとって二回目となるモデル体験は、初回とは異なる緊張感に包まれて始まりました。

前回の制作では、Sさんから指定されたポーズをとっておりましたが、今回はモチーフ台の置かれたバルコニーに移動した瞬間から、自らの感覚でポーズを決めてのスタート。

一枚につき約2分間の制作中、
(ポーズがブレない様に!! 目線は一点に集中させる!!)…と考える事に加え、新たに、
(次は、どんなポーズをすれば良いの!?)
と疑問やプレッシャーを抱えながらの制作で、心身共に大忙しでした。

制作に向け、購入したポーズ集やグラビアショットトランプの柄etcを思い出そうにも、頭部を下げたり、首を捻ったりするポーズをする内に血液の巡りが不自然になり、思考は何度かストップしかけました。


制作者がモデルに求めているものは何?

“ダイナミックなイメージ”“女性的な体のライン”“非日常的な構図”

制作者の気持ちを瞬時に読み取り、ポーズで応える。

その難しさに直面したという意味では、前回以上の苦労を感じたのが正直な感想です。

ですが、それ以上に、迷いながらとったポーズを
「美しい」
と言われる事が嬉しく、制作後の筋肉痛は、充実感と共に得た非常に心地良いものでした。

制作後、Sさんがクロッキーを描く事を
“ライブ感が魅力”と、お話されていた事も、印象に残っております。


私は過去に、
“百聞は一見に如かず
それよりも凄いのは、百見は一験に如かず”
…という様な事が書かれた本を読んだ事があります。(タイトルは忘れました。)

Sさんは十代の頃に初のクロッキーを体験。

私は三十代で初のクロッキーモデルを体験し、今回が二回目。

描く側と描かれる側の差以外に、その現場の回数が桁違いでありながら、クロッキー制作に懸ける情熱を屈託無く、解り易い言葉で伝えて頂いた事は、私にとって励みになりました。

これから“聞”と“見”と“験”を重ねていかれる様、私もまた、美しいものを眺めたり、未踏の世界観に足を運ぶ努力を致しますね。

心身に刺激を与える情熱と御言葉をありがとうございます。

また制作の現場に参加出来る日を楽しみに待っております。


  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  

  





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